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Album:森羅万象

posted Posted:'04.02.19 (Thu)

愛川由香:森羅万象キングレコード KICJ385 (発売日:1999年12月)

[収録曲]
1.Make a Move
2.All Beings in the Whole Universe
3.Orient Express
4.Something to Tell You
5.Yuka's Dream
6.For My People
7.Minor Steps(mp3/488k)
8.Sunset and the Mocking Bird
9.Homes
10.Lonely Town

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愛川のプレイは淡々とした風情がある。
[文:Swing Journal紙(November 1999) CD評 小川隆夫]

 ニューヨーク在住の愛川由香は、元々国立音大でクラシックを学び、その後ジャズに魅せられてニューヨークに渡ってニュースクールやクイーンズカレッジで学ぶ一方、ピアノをローランド・ハナに、作編曲をジミー・ヒースに師事した経歴を持つ。
 日本での活動歴がないため、わが国ではまったく無名に等しいが、ニューヨーク周辺ではここ数年着実に評価されてきたピアニストだ。それだけにこの作品でも最後の3曲を除いては彼女の作編曲が紹介されている。

 愛川のプレイは全体にどちらかと言えば淡々とした風情を示す。
それが曲想とマッチして面白い味わいを醸し出していく。一方ピアニストとしての腕前にも確かなものが認められるが、それ以上に感心したのが彼女のアレンジ能力だ。これまた大上段に構えるような派手なところはない。しかし穏やかでイマジネイティブなサウンドを生み出す愛川のセンスの良さは印象的だ。スタイル的にはまったく違うものの、どこかセロニアス・モンクの音楽に通じているところが興味深い。

 複数のホーンを適材適所に配する手法は、単にホーン・アンサンブルを前面に打ち出すものではなく、音楽の枝葉としてそれらを効果的に用いようとする姿勢を反映させたものだ。あとはその才能をどのように生かすかである。この作品でもかなりのレベルには達している。しかし彼女の才能ならさらなる作品も作れるはずだ。